歳月は人を待たず

         願わくは

         花の下にて春死なむ

        その如月の望月の頃

                                               西行法師

 

桜の開花が聞こえてくる時期となった。

桜は日本を代表する花であるが、

爛漫と咲き、そして儚く、潔く散っていく様は

「もののあはれ」を感じさせ、

その無常さは日本人の精神基軸を表しているとも言われる。

 

              ~春なのにお別れですか~

「春はあけぼの」ではあるが、

何とはなしに、もの哀しさを感じさせる。

 

             ~サヨナラだけが人生だ~

幾多の出逢いと別れ、別れと出逢いを繰り返し、

時は巡りて、齢を重ねて行く。

 

その反面、新たな出逢いのシーズンでもある。

学校、職場、その多くで、

今までとは違う出逢いがある。

 

              ~一年生になったら、友達百人できるかな~

どの職種、どの職場であろうと、

新しく入る者は“一年生”である。

期待もあり、不安もある。

照れもあり、気恥ずかしさある。

               ~スプリング  “ハニカム”~

 

     ~人生は何事も為さぬには、あまりにも長いが、

            何事かを為すには、あまりにも短い~

 

人生無根蔕  人生 根蔕なく

飄如陌上塵  飄として陌上の塵の如し

分散逐風轉  分散し風を逐って轉じ

此已非常身  此れ已に常の身に非ず

落地爲兄弟  地に落ちて兄弟と爲る

何必骨肉親  何ぞ必ずしも骨肉の親のみならんや

得歡當作樂  歡を得なば當に樂しみを作すべし

斗酒聚比鄰  斗酒 比鄰を聚め

盛年不重來  盛年 重ねて來たらず

一日難再晨  一日 再び晨なりがたし

及時當勉勵  時に及んで當に勉勵すべし

歳月不待人  歳月 人を待たず

 

 

 

(涼 海)